国民的ドラマ「西遊記」のテーマ曲「敢問路在何方」は、多くの視聴者に親しまれるメロディーとなりました。しかし、この不朽の名曲の生みの親である作曲家・許鏡清氏の苦難に満ちた道のりや、彼が受け取ったわずかな著作権料について知る人は少ないでしょう。
インスピレーションから伝説の音楽へ
1983年の冬、許鏡清氏は通勤途中にふと「春夏秋冬が巡り、人生には苦楽が満ちている」という歌詞を思いつきました。雪景色と人生への思索が、わずか20分で名曲「敢問路在何方」を生み出すインスピレーションとなったのです。この曲は瞬く間に「西遊記」に欠かせない要素となり、三蔵法師一行の苦難の旅路に深みを与えるものとなりました。
幻となりかけた楽曲と、守り抜いた闘い
「敢問路在何方」は、テレビ局の幹部から電子音楽の使用がドラマにふさわしくないと判断され、当初「西遊記」から削除される危機に瀕していました。しかし、楊潔(ヤン・ジエ)監督の断固たる介入と尽力により、この曲は最終的にドラマのエンディングテーマとして残り、「西遊記」の名とともに人々の記憶に刻まれることになったのです。
西遊記の撮影現場で作曲する許鏡清
わずかな報酬と著作権を巡る物語
「敢問路在何方」は、歌手の蒋大為(ジャン・ダーウェイ)に巨額の収入をもたらしましたが、作曲家の許鏡清氏が受け取った著作権料はごくわずかでした。彼はかつて、音楽協会から受け取った著作権料は約300元(現在の約1万円)に過ぎないと語っています。これは、この曲の価値とはかけ離れた金額です。さらに、楽曲がインターネット上でダウンロードされた際、50以上のウェブサイトから受け取った金額はわずか8,000元(約27万円)で、中には2元7角(約92円)しか支払わなかったサイトもあったそうです。
黄金時代と17,000円の報酬
「西遊記」が放送された1980年代、許鏡清氏は1話あたり250元(約8,540円)の報酬を受け取っていました。全25話で合計6,250元(約21万円)となり、当時としては大金でした。しかし、この曲が後に生み出した価値と比較すると、この金額はあまりにも少額です。楽曲のレコーディングに参加した音楽チームに至っては、一人あたりわずか5元(約170円)しか受け取っていません。
西遊記の撮影期間中に遅重瑞と記念写真に写る許鏡清
時代を超えた名曲「敢問路在何方」
経済的には恵まれなかったものの、許鏡清氏は自身の代表作「敢問路在何方」を誇りに思っています。「敢問路在何方」は、時の試練を乗り越え、多くの世代の子供時代の思い出の一部となり、今日に至るまで愛され続けています。この曲は、張紀中(チャン・ジージョン)監督によるリメイク版「西遊記」でも使用され、時代を超えて輝き続ける不朽の名作であることを証明しました。