大型トラックのエアブレーキ故障:原因と対策

2024年8月にフーミー橋で発生した日野トラックのブレーキ故障事故は、大型トラックのエアブレーキが効かなくなる危険性について、改めて警鐘を鳴らしました。この記事では、この危険な状況の原因と対策について解説します。

トラックのエアブレーキシステムはどのように作動するのか?

トラックのブレーキシステムは、ブレーキパッドとブレーキディスクまたはブレーキシューの間に圧力を加え、摩擦を増大させて車輪を停止させる原理で動作します。積載重量が大きいため、トラックにはブレーキ倍力装置が不可欠です。主な倍力装置には、小型・中型トラック向けの油圧式(オイル式)と、大型トラック向けの空気圧式があります。多くのトラックでは、これらを組み合わせて使用​​しています。

油圧式エアアシストブレーキ(真空式)

このタイプでは、ブレーキペダルと油圧システムの間にエアチャンバー(真空チャンバー)が配置されています。エアチャンバーからエア漏れが発生したり、故障した場合でも、ドライバーはブレーキペダルを踏むことができますが、非常に重く、効果が低下します。高速走行時や積載重量が大きい場合、ブレーキはほぼ完全に効かなくなります。多くの旧型日野車がこのタイプのブレーキを使用しています。

空気圧ブレーキ(純粋なエアブレーキ)

空気圧ブレーキは、圧縮空気の圧力を使用してブレーキパッドをブレーキシューに押し付けます。このシステムには、2つの空気回路があります。1つはブレーキの通常作動用、もう1つは緊急時のブレーキロック(ロッカー)用です。メインエアチャンバーに不具合が発生した場合、ブレーキロッカーが作動して車輪をロックします。ただし、急な下り坂を高速かつ重量物を積載して走行している場合、ブレーキロッカーの効果は大幅に低下します。

なぜトラックのエアブレーキが効かなくなるのか?

トラックのエアブレーキが効かなくなる原因は、主に以下のとおりです。

  • エアチャンバーのエア漏れまたは故障: ブレーキアシストが失われ、ブレーキペダルが重く操作が困難になります。
  • 空気配管系の故障: ブレーキ作動に必要な圧縮空気圧が失われます。
  • ブレーキパッドの摩耗: 摩擦が減少し、ブレーキの効きが悪くなります。
  • ブレーキロッカーシステムの故障: 緊急時にブレーキロッカーが作動しなくなります。
  • ドライバーの誤った操作: 頻繁な引きずりブレーキ、過積載など。

トラックのエアブレーキが効かなくなる状況への対策

  • 定期的なメンテナンス: ブレーキシステム、エアチャンバー、空気配管系、ブレーキパッドを定期的に点検します。
  • 適切なブレーキオイルの使用: ブレーキオイルの品質を確保し、定期的に交換します。
  • 安全運転: 頻繁な引きずりブレーキを避け、特に下り坂では前車との安全な車間距離を確保します。
  • 積載量の遵守: 過積載によるブレーキシステムへの負担を避けます。
  • 運転手へのトレーニング: エアブレーキシステムに関する運転手のスキルと知識を向上させます。

坂道でのトラック運転時の注意点

フーミー橋や坂道などの場所をトラックで走行する際は、運転手は特に以下の点に注意する必要があります。

  • 減速: 下り坂では低速で走行し、速度をコントロールしやすくし、車両を制御しやすくします。
  • 安全な車間距離の確保: 前車との間に十分な車間距離を確保し、不測の事態に迅速に対応できるようにします。
  • 注意深い観察: 交通標識や道路状況を注意深く観察します。

トラックのエアブレーキが効かなくなることは、非常に危険な状況です。原因と対策を理解し、安全規則を遵守することで、リスクを軽減し、自身と社会の安全を確保することができます。

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